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上大池・豆沢
筒井筒上大池
つついづつかみおいけ
この道祖神の呼び名となっている
「筒井筒」とは、伊勢物語の中の話の一つで、
幼なじみが、恋を実らせ夫婦になるという物語です。
山形村には「筒井筒」と名のつく道祖神が4体あります。
石の選び方や彫刻の技法、作られた年代が共通することから
4体ともに、同じ高遠の職人が作ったものであろうと言われていますが、
この道祖神には、他の3体とは違っている部分が3つあります。
一つ目に、握手をしている袖口のひもが大きく垂れていること。
二つ目に、女神の顔が、不自然な感じで右に傾いていること。
三つ目に 女神の一束にまとめた髪が、つんと上に浮き上がっていることです。
これは女神が恥ずかしさあまって、
顔を伏せた拍子に、髪がゆれて動いた瞬間のようにも見えます。
この像には、彫刻部分に、雨や雪が直接あたらないように
「中区(なかく)」と呼ばれる円形の深い彫り込みがあり、
像全体も少し前に傾いた形で造られているために、
繊細な彫刻表現が劣化することなく、
大変良い保存状態を保つ事ができています。
一箇所だけ、美しい女神の左まぶたが破損しているのが残念です。
「筒井筒」と名前につく道祖神は、
「小坂」「中大池」「下大池」の地区にもありますので
ぜひ、そちらもご覧になってみてください。