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上大池・青木沢北
袖中祝言
そでなかしゅうげん
この道祖神は、契りの盃を交わし合う祝言の場面を表したものです。
女神がお酒を入れたひさげを持ってひざまずいていることから
「跪坐祝言像(きざしゅうげんぞう)」と分類されます。
道祖神は一般的に、
若い男女の神様であることが多いのですが、
この像は、顔や着物の着付けなどから見て
村の長老ではないかという印象を受けます。
男神は、白髪でやや髪の毛が薄くなっています。
頬にはふっくらと貫禄があり、
長老の風格漂うほほ笑みを浮かべています。
着物も立派でいかにも裕福そうです。
女神は、公家風の十二単衣を身につけており、
着物の裾のひだが、大変写実的に彫られています。
男神は、お酒がなみなみと入った盃を持ちながら
一方の手を、女神の袖の中に差し入れています。
女神もまたそれに答えるように、奥の方の手を
男神の袖に差し入れています。
もしかしたらお二人は、
婚礼の媒酌人を引き受けて、新婚夫婦を見守るうちに
ご自分たちの婚礼を思い出し、
お互いを思う情熱に火がついたのかもしれません。
そんな見方をすると、とても面白い道祖神です。
このような「跪坐祝言像(きざしゅうげんぞう)」は
安曇野発祥の道祖神であると言われており、
山形村には他に「車屋美人」「酒樽」の2体があります。
ぜひそちらもご覧になってみてください。