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小坂・堂村上辻
まぼろしの双像
まぼろしのそうぞう
この道祖神は、分厚い石の
向かって右側に寄せて、像が彫られています。
使われた石がもろく軟らかいことと、
元々彫りが浅かったこともあって、風化が進み
どちらが男神で、どちらが女神か
今では見分けるのが難しいほど、像の輪郭がぼやけてしまいました。
いかにも「まぼろし」のようになってしまったことから
この呼び名がつけられています。
それでも、目を凝らして、よく見てみると
向き合った二人の神様が手をつなぎ、
向かって右側の神様の方が、
若干がっしりと逞しい体つき。
左側の神様は、
腰から膝にかけてしなをつくるように描かれており、
江戸時代の庶民に親しまれた浮世絵のような、
大衆文化的な親しみやすさが感じられます。
ところで、像の足元、石の向かって右下の方に、
くぼみがあるのが、わかりますか?
さて、このくぼみは、何のために作られたのでしょうか?
実はこの神様、あんころ餅が大変お好きだそうです。
村の子供達が病気にかかると、
親たちが願掛けをし、病気が治ったあかつきには
お礼のあんころもちを、このくぼみに備えたと言われています。