11
小坂・堂村上辻
まぼろしの双像
まぼろしのそうぞう
この道祖神は、分厚い石の 向かって右側に寄せて、像が彫られています。 使われた石がもろく軟らかいことと、 元々彫りが浅かったこともあって、風化が進み どちらが男神で、どちらが女神か 今では見分けるのが難しいほど、像の輪郭がぼやけてしまいました。 いかにも「まぼろし」のようになってしまったことから この呼び名がつけられています。 それでも、目を凝らして、よく見てみると 向き合った二人の神様が手をつなぎ、 向かって右側の神様の方が、 若干がっしりと逞しい体つき。 左側の神様は、 腰から膝にかけてしなをつくるように描かれており、 江戸時代の庶民に親しまれた浮世絵のような、 大衆文化的な親しみやすさが感じられます。 ところで、像の足元、石の向かって右下の方に、 くぼみがあるのが、わかりますか? さて、このくぼみは、何のために作られたのでしょうか? 実はこの神様、あんころ餅が大変お好きだそうです。 村の子供達が病気にかかると、 親たちが願掛けをし、病気が治ったあかつきには お礼のあんころもちを、このくぼみに備えたと言われています。