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下大池・橋爪東(下大池公民館前)
筒井筒下大池
つついづつしもおおいけ
この道祖神の呼び名となっている
「筒井筒」とは、伊勢物語の中の話の一つで、
幼なじみが、恋を実らせ夫婦になるという物語です。
山形村には「筒井筒」と名のつく道祖神が4体ありますが、
石の選び方や彫刻の技法、作られた年代が共通することから
4体ともに、同じ高遠の職人が作ったものであろうと言われています。
この像は、他の3体と比べると
抜きん出て洗練された雰囲気があり
田舎の土臭さがまるで感じられません。
鼻筋がすっと通り、瞳もつぶらで、
お顔立ちはまるでひな人形のように優美です。
寄り添ったお二人は、
お互いの肩に手をかけあっていますが、
男神の指が、女神の肩口に少し見えるのに対し
女神の指は、男神の肩口にしっかりと深く掛けられています。
この女神は、若く美しい上に積極的で、
かぶっている冠が邪魔になるくらい、
髪と髪をぴったりと触れ合っています。
しかし、お顔の表情はどうかというと
幾分恥ずかしいのか、お互いに少々伏せ気味になり、
初々しさが漂っています。
江戸時代に全国的に活躍した
信濃の国は高遠の石職人の作であり、
その卓越した表現技術が、
見るものに感銘を与える、超一級の傑作です。
近年、この像の拓本や写真が
フランスやカナダ、アメリカなどで紹介されたことから、
研究者や愛好家の間で人気が高まり、
日本を代表する道祖神と言ってもよいほど、
高く評価されています。
「筒井筒」と名前につく道祖神は、
「小坂」「上大池」「中大池」の地区にもありますので
ぜひ、そちらもご覧になってみてください。