10

小坂・本殿上

筒井筒小坂

つついづつおさか

碑身縦長の重量感のある自然石

高 130㎝、巾 120㎝、厚 60㎝

基壇なし

なし

記年銘寛政8年2月吉日(1796年)

施主銘殿村中

中区双棟型

珍しい双棟の中区に半肉彫りで刻まれています。男神は衣冠束帯の姿で太い表袴をつけて浅沓をはいています。女神は桂袴で、垂髪を真後ろに垂らし、冠を戴いた美装で、平安朝のみやびやかな宮廷生活を思わせます。他の筒井筒との違いは、衣装の細部を省略して抽象化しているのが特徴です。お互い体を寄り添い、内側の手を相手の肩に深くかけて抱き、外側の手を握り合っています。そのため、双神の体の前の部分は衣の大袖2つが垂れて隠れてしまっています。女神に手を握られた男神は嬉しさをかくしきれずに少しうつむき加減になり、女神も恥ずかしそうにすっかり下を向いています。いかにも初々しい表情の若い道祖神です。道祖神の左側には神々を見守るように1本の御柱が建てられております。芦田英一著「道祖の神々」の表紙カバー写真になった際、初々しい2人を幼なじみと見立てて「筒井筒」と名付けられたそうです。

祭り9月第2土曜日と日曜日の2日間に亘り、本殿上常会と本殿下常会で行っています。

衣冠束帯(いかんそくたい):公家の正装を混同していったもの。衣冠と束帯。

袿袴(うちきはかま):袿(重ね上着)に袴をつけた姿。

表袴(うえのはかま):男子が束帯のとき、大口袴(おおくちばかま:裾の大きく開いた紅色の肌袴)の上にはく袴。

浅沓(あさぐつ):公家が装束を着けたときにはく浅い沓(靴)。

垂髪(おすべらかし):前髪を左右にふくらませ、もとどりを背後にすべらせて長く下げる婦人のさげ髪の一種。